本サイトおよび組合員用システムは、全国中央会より「平成26年度中小企業活路開拓調査・実現化事業」の支援を受け製作しました。

組合概要

技能実習生の処遇

1. 技能実習生の処遇

講習期間中は、技能実習生に係る雇用契約が未だ発効していないので、監理団体が収入のない技能実習生に生活上の必要な実費として講習手当を支給することになります。 宿舎は無償提供とします。 また、講習手当の額は入国前に技能実習生に示すことが求められます。

なお、講習期間中に、実習実施機関が未だ雇用関係の生じていない技能実習生に対して指揮命令を行うことはできないので、講習のない休日や夜間に技能等修得活動を行わせてはなりません。

2. 「技能実習1号ロ」(講習期間を除く)及び「技能実習2号ロ」活動期間中の処遇

(1) 技能実習条件の明示

実習実施機関は、技能実習生(1号)に対し、外国人技能実習制度に係る関係法令について必要な説明を行うとともに、書面をもって、予定されている「技能実習1号ロ」の実習内容、「技能実習2号ロ」への移行に関する条件等及び技能実習期間中の労働条件を明示(母国語併記)する必要があります。

(2) 雇用契約の適正な締結

実習実施機関は、トラブルの未然防止の観点から労働時間、賃金その他労働条件を明確にするため、文書により雇用契約を締結し、労働条件通知書を交付(母国語併記)することが必要です。

(3) 労働関係法令等の遵守

実習実施機関は、受入れた技能実習生に関して、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、国民健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法等、労働者に係る諸法令が適用されますので、これを遵守しなければなりません。 なお、労働法令の適用については、一般の日本人従業者と全く同様です。

(4) 賃金の適正な支払い

実習実施機関は、技能実習生の賃金を本人に直接その全額を毎月一定の期日に支払わなければなりません。 ただし、通貨払いの例外として、(イ)口座払いの労使協定の締結、(ロ)本人の書面による同意、(ハ)本人の指定する金融機関の本人名義の預金口座に振り込むこと、(ニ)賃金支払明細書の交付等一定の要件の下に、金融機関への口座払いにより賃金を支払うことが出来ます。 また、金額払いの例外である賃金控除については、法定控除以外の費目を控除する場合には労使協定の締結が必要となります。 この場合でも、控除できるのは宿舎費等の事理明白なものに限られ、控除する額は実費を超えてはなりません。

なお、支払賃金額は、都道府県ごとに定められている最低賃金額(地域別最低賃金の適用が一般的ですが、特定(産業別)最低賃金が適用になる場合もありますので留意が必要です。)を下回らないことが必要です。

(5) 労働時間の取扱い

技能実習生(1号及び2号)の労働時間は、労働基準法に基づき1日8時間以内、1週間40時間以内の原則が適用されます。 これを超えて実習実施機関が技能実習生(1号及び2号)に時間外又は休日の労働をさせる場合には、法律の規定に従って、労使協定を締結する等一定の手続きが必要であり、時間外割増賃金等の支払いが必要となります。

(6) 安全衛生と保険措置

技能実習生は日本語や日本の文化・習慣に不自由・不慣れなことから、日本人に対するよりもさらに職場や私生活上の安全衛生を確保することが重要です。 実習実施機関は、技能実習生にケガをさせず、健康な体で母国・家族のもとに帰国させる義務があります。 そのためには、労働安全衛生法規の遵守を中心に災害防止・健康確保対策を推進する必要があります。

さらに、万一の労働災害・通勤途上災害に備えて労災保険に、日常生活でのケガや病気、障害補償や遺族補償に備えて健康保険や厚生年金保険等社会保険にそれぞれ加入する必要があります。

また、「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(法務省)において、「毎年、不慮の事故や疾病に遭遇する技能実習生が見受けられることから、(中略)公的保険を補完するものとして民間の損害保険等に加入することについても、技能実習生の保護に資するものといえます」とされており、この民間の損害保険として外国人技能実習生総合保険が開発されております。

(7) 労働組合等の協議

技能実習生の受入れを予定する企業等は、技能実習生と雇用関係に入ることから、あらかじめ当該事業場の労働組合と技能実習生受入れに伴う取扱いに関して協議することが望まれます。